神田の飲み屋街で、なるべく汚い店を探して歩いていた。
不意にネズミと目が合った。
ネズミが乗っている立て看板には、味のある字で「すみ処」と書かれていた。
ここにしよう。
引き戸はたてつけが悪く、ガタガタいう。
今夜は期待できそうだ。
カウンターに着くやいなや、瓶ビールと目についたつまみを二、三品注文する。
漫画の主人公にあこがれて始めたひとり酒も、ずいぶん板についてきた。
「トシちゃん、また負けたって?」
えっ。と顔を上げると、髪のうすい店主は二つ隣の席の男と話していた。
やり場のなくなった視線をとっさに、頭上のテレビに移す。
ひいきの球団が負けていた。
カープが負けてもビールはうまい。
つまみの皿に箸を伸ばしかけた時、ポケットの中が小さく震えた。
「ケンジ、ハナちゃん結婚するんだって 母」
しばらく画面を見つめたあと、ナスの煮物を口にはこぶ。
カープが負けてもナスはうまい。
あんなに嫌いだったのに。
……いつから好きになったんだっけ。
今度のギジレンは初のメタハラトシフィクション!
驚天動地の実体験、
正真正銘ノンフィクション!!(うそ)
片腹年彦ことぼく主演の物語。
めちゃんこきつかったけどやれてよかったやらせてくれた佐藤ありがとう共演者ありがとうお客様ありがとうの公演。
もう一度やりたいけど同じものは二度とやれないだろな。いろんな意味で。
ぼく以外の在り処には興味があるな。
Tシャツ屋さんとしてのギジレンが始まった公演でもあります。
きびだんごゆん先生ありがとう。
在り処について書き始めるとほんとに文字数いくらあっても足りないから
興味ある人は直接聞いて!メールして!素面じゃ話せないから一杯おごって!
一杯じゃ話せないからたくさん飲もう!みたいな話でした。
そんな話ではないです。
未だに在り処がいちばん好きって言ってくれる人も少なからずいて
正直めちゃんこ嬉しいのでもっとみんな声を大にして言うといいよ。
でもあんま言われると恥ずかしいからメールしてください。
片腹年彦 より