guizillen 5llen
七月の歯車

2016年12月7日(水)〜11日(日)
シアター・バビロンの流れのほとりにて

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we are guizillen


「歯車の噛み合う音がした」


12才の頃、ギターが欲しかった。

どうしようもなく惹かれて、せっせと新聞配達をしてようやく手に入れた。

しかし手に入ってしまうと、ちっとも練習しないまま押入れにしまいこんでしまった。

なぜあれほど強く惹きつけられたのか、今となっては思い出すこともできないが、捨てるには惜しく、そのままにしている。

衣替えの季節に押入れを開けると不意に目に入ってバツが悪い。

なんだか申し訳ないような気分になってしまう(誰に?)

この台本を引っ張り出して来たとき、そんなことをふと思い出した。

一体なにが、私にこの物語を書かせたのか。まともに文章を書いたことのなかった私が、なにに駆り立てられていたのか。

それは思い出せないままだった。


この物語は、倉灘という過疎の漁村を舞台に、ごく小さな歯車の回転から始まる。

寂れた町においてなお、人間(じんかん)を避けて暮らす父娘の、父が娘の身体に見つけたある秘密が、

偶然、不意に都会を逃れ出た青年によって暴かれてしまう。

反発しあう二人の男が知らぬ間に、倉灘と、少女の歯車をゆっくりと巻いてしまう。


いま読み返すと、あまりにも稚拙な文体で無駄や冗長に満ちあふれていて、たかだか数年前の自分がこれを書いたのかと思うと辟易した。

ただ、この物語は何かの強い衝動に「書かされていた」。

それが文字からはっきりと伝わってくる

今の私に、それだけの情動が持てるだろうか。


あれから少しばかり歳をとって、その間にいくつかの物語を書いたりもした。そして今再び筆をとり、この物語に少しだけ手を加えてみる。

この物語と今の私を繋ぐ、空転を繰り返していた歯車が、うまく噛み合ってくれることを願う。


パロディ、コメディ一切なし!

丸腰で挑む第5llen、ギジレンの化けの皮の内側、


「七月の歯車」をもう一度。



センチメンタル・ジャーニー

僕が2回目に出たguizillen作品です。


複雑な家庭環境で育ったせいで、

全国のパチンコ屋に置いてある「CR牙狼 魔戒ノ花」を

ハンマーを片手に破壊して回るのが趣味の少女がヒロインです。

僕は、そんな人生に絶望していた少女の元に現れる妖精の役でした。

妖精の言葉を無視してP・F・O・G(パーフェクトフェイスオブガロ)を次々に砕いていく少女は涙ながらに語ります。

「ワシの金が店長のフェラーリに変わっとる」

妖精は仕方なく少女を殺します。


ラストシーンでは門田演じる少女の父親が、

この世の不条理から解き放たれた少女のことを想い、

喜びの涙が頬を伝うのです。


末安陸 より

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