夜の土木工事はサーカスに似ている。
象のような重機を手足のように操る男たち。
危険な作業を軽々こなす男たち。
煌煌と照らされた額の汗には土埃が浮いて黒くくすんでいる。
聞けば彼らの一人一人に夢があるという。
若い男が言った。「海が見たい」
中年の男が言った。「故郷に帰りたい」
老いた男が言った。
「あとは文字通り、心血を注いで掘ったこの脈に、わしらの血液を流し込むだけ。それで工事はおしまい」
そう言ってすぐに老人は穴に飛び込んだ。
男たちは嬌声をあげながら老人のあとに続く。
真っ白なベールが翻って、白鳥の群れが飛び立つようだ。
「ハッピーウェディング」「ハッピーバースデイ」
祝いの言葉を口々に、男たちは死んでいく。
わたしは涙を奥歯で噛み殺して、彼らに大きく手を振った。
かつてこの穴に埋まっていた祖父が、小さく笑ったような気がした。
三姉妹が離散し、それぞれ土木作業員たちに出会い、
やがて故郷に戻るまでを描いたguizillen初の土木ファンタジー!
この土木座でguizillenの名前を各所に轟かせたと言っても過言ではないんじゃないでしょうか。
過言ですね。
最前列で観てた方が、あるシーンで「エ○クトリカルパレードみたいだった!」と言ってたのがすごく印象的です。
絶対エレクトリカルパレードがなんなのかわかってないだろ。
はちゃめちゃやりながら最後はしっとりっていう、
いわゆる巷で言われる「guizillenっぽい」作品の鏑矢な気がしてます。
再演も楽しかったけど、初演のガムシャラさとか熱量、みたいなのも今となってはいい思い出です。
笹井雄吾 より